テーマ展示「広島のお雑煮文化」
瀬戸内の温暖な土地から、中国山地の積雪寒冷地まで、ひとつの県でありながら気候の変化が大きい広島県。地域ごとの食べ方にも違いがあり、「お雑煮」にも、そんな違いがありました。会場には、伝統的なお雑煮の代表7種を展示しました。作ってくれたのは地元の料理研究家・松田麗子さん。「ぶりは出世、はまぐりは運が開く、牡蠣は幸をかき集める、カブは株を上げる、里芋は子孫繁栄、柚の黄色は魔除け」など県内の方にも意外と知られていない雑煮に隠された意味を教えてくれました。また、JA女性部のみなさんも、今自分たちで食べている「お雑煮」の写真やレシピも展示。さらに、今回のイベントでは、食育の一環として、広島市立安東小学校の2年生のみなさんが冬休みに食べた雑煮84点とみんなで考えた「ゆめのおぞうに」を立体工作で作ってくれました。「もち・あまぐり・しいたけ・かに・白さい・かき・ほうれんそう・のり・にんじん・えび・さつまいも・だいこん・かまぼこ・ゆずのかわ」からなる“夢の”雑煮には松田さんも大感心。「また新しいお雑煮の誕生ですね」と力作にお褒めの言葉が。 そして雑煮について、「お正月には3つのお雑煮をつくってください。ひとつ目はご主人のご実家の味、ふたつ目は奥さまのご実家の味、そして3つ目がご家庭の味。こうして伝統と新しい家庭の味の両方を受け継いでいってほしいです」と提案がありました。
さわやかな合唱とともにイベントはスタート
NHK広島児童合唱団のさわやかな歌声が「元気な食をいただきます。in広島」のオープニングを飾りました。JA広島中央会理事 岸房康行氏の開会あいさつでは「広島各地の豊かな食文化を、生産者、消費者が伝えあい、知りあうことで、さらなる豊かな交流が生まれますように」と今回のイベントの主旨が会場の方々に伝えられました。
「ひろしまのおいしいを発見!」
ステージはそのままミニ・クッキング・スタジオに早変わり。料理研究家・松田麗子さんが、「お好みねぎもち」「すだち雑煮」などの簡単ですぐに食べられるお餅料理を紹介。さらに旬の野菜をつかった「わけぎとキャベツのごま酢和え」「緑たっぷりそぼろ菜ごはん」は会場のみなさんにも食べていただきました。
広島にある13JAから、総数385品の家庭のおいしさが大集合
JA広島市・JA佐伯中央・JA安芸・JA呉・JA広島中央・JA芸南・JA広島ゆたか・JA尾道市・JA三原・JA福山市・JA広島北部・JA三次・JA庄原。広島にある13すべてのJAの女性部のみなさんによる「いまの広島各地の家庭料理」が展示会場を埋め尽くしました。その総数は385品。 すべてに詳しいレシピが添えられています。レシピを熱心に書き写される方、写真を撮る方、つくった方と談笑される方…と、さまざま風景があちらこちらで見られました。 NHK「きょうの料理」の講師・田村隆さんも、ぐるりと会場をまわって感心しきり。「こういう料理は懐かしいなぁ」「これは、どうやって、こしらえるのですか?」「この食材、料亭でも高くて、年に数回しか使えないものなんですよ」「本当に北の方と瀬戸内では、違いがありますね」「鮮度の良い野菜でつくると漬け物の味にちがいが出るものです」「種から育てて、収穫されて、料理までする、そして食べる人を健康にする。本当にすごいことですよ」と、すばらしき家庭料理をゆっくり、たっぷりと解説されました。
「伝統と創作〜食育ステージ」
385品もの「いまの広島各地の家庭料理」に、やや圧倒された田村隆さん。ステージに戻って「大根1本をまるごと使った料理」を実演して紹介しました。プロの手元をじかに見る、めったにない機会。ステージ前に座った方々は、じっと目をこらし、熱心にメモを取っていらっしゃいました。
JA女性部が作る、さまざまな農産加工品の試食も盛りだくさん。ジャム類や味噌、せんべいやクッキー、コロッケやチップス…28品以上を用意しました。そのおいしさに魅了された方々が、13のJAから特別出品された直売コーナーに並んで、お気に入りの加工品を買い求めていました。 また「しし鍋」「こうたけむすび」「美酒鍋」「佐伯汁」「たこ飯」「比婆牛おこわ」など広島県内の“おいしい味”の試食では「こういう味は家庭でも作っていたけれど、正式な名前があるのは初めて知りました」「おなじ広島でも知らないものってあるんですね」などの声があがっていました。
一橋大学大学院教授の関満博さん、農業ジャーナリストの青山浩子さん、平田観光農園代表の平田克明さん、タレントの大桃美代子さん、NHK解説委員の合瀬宏毅さんによるスペシャルトークでは「ブランド化を進めつつ試行錯誤している広島世羅の取り組み」「新潟のうめてば豆腐」「くわ茶で、荒廃していた桑畑を再生させた島根県・桜井町」などの事例を紹介しながら、みなさんが活発なトークを繰りひろげました。作るのは上手なのに、売るのはヘタな農村。そのために必要なことは何か?でも、こんな成功例もある。ネットワーク構築に大切なこと…などなど、さまざまな意見が飛び交い、ご覧になっている方々もうなずいたり、思わぬアイデアに微笑んだりしていました。
今回の「元気な食をいただきます。in広島」には3500名を越える方々が訪ずれ、大盛況のうちに幕を閉じることができました。 農産物の生産者と消費者が「いまの家庭料理」を通して交流し、一緒により良い食の環境を作れるよう、『食と地域を考えるフォーラム』では、20年度も産地での“食の再発見”と“産地と消費地との交流”の活動を続けます。 みなさまの近くで開催する際には、是非ご参加ください。
●共催:NHK広島放送局 ●後援:内閣府、文部科学省、農林水産省、広島県、広島市、広島県教育委員会、広島市教育委員会、JAグループ広島、広島テレビ ●特別協賛:JAグループ
「食べもの」は体と心の健康をつくり、明日へむかう力を生み出します。「食べ方」には家族や地方それぞれの記憶があります。食の生産地と消費地をおいしさで結び、交流の和をひろげることで、日本各地の伝統・いま・これからの食を語り合い、確認し、新たな豊かさへつなげていきます。